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IBM SPSSによるデータ分析、情報活用

シンタックスによる対比の参照カテゴリの指定方法

反復測定の多重比較
反復測定による分散分析では、多重比較の方法として水準のすべてのペアごとの比較のほかに、要因内の水準の比較のために対比を使用することができ、IBM SPSS Statistics では「偏差」「単純」「差分」「Helmart」「反復」「多項式」の6種類から指定可能です。
単純」対比では指定した水準を基準とした比較ができ、例えば、3回の測定のうち、最初の1回目を基準として、1回目 vs 2回目、1回目 vs 3回目 の差を見たり、最後の3回目を基準として、1回目 vs 3回目、2回目 vs 3回目 のような比較ができます。
偏差Deviation要因の水準を全平均と比較します
単純Simple最初または最後の水準との比較を行います
差分Difference因子の水準を前の水準の平均値と比較します
HelmartHelmart因子の水準を後続の水準の平均値と比較します
反復Repeated隣合う水準間の比較を行います
多項式Polynominal 水準数-1の多項式に当てはめる傾向性の検定を実行します

1対比の変更とシンタックスの貼り付け

「貼り付け」ボタンによる記録

SPSSでは「単純」対比を使用する場合の基準 (参照カテゴリ) として指定できるのは「最初」または「最後」の水準のみです。これら以外の水準を基準に指定する場合は、シンタックスの編集が必要です。シンタックスは、SPSSのコマンドを記述したコードで、ダイアログボックスで「貼り付け」ボタンをクリックするだけで確認・編集が可能です。

代表的な使用例の1つとして、反復測定による分散分析の手順で確認してみます。対比の変更は「対比」ボタンを使用します。反復測定の分散分析を実行するには、Advanced Statisticsオプションが必要です。

反復測定の分散分析と対比の設定

  1. 「分析」>「一般線型モデル」>「反復測定」メニューを選択します
  2. 反復測定の因子の「水準数」を入力して「追加」ボタンをクリックします
  3. 「定義」ボタンをクリックします
  4. 「被験者内変数」(1回目、2回目、3回目など) を指定します
  5. 「対比」ボタンをクリックします

デフォルトの対比は「多項式」になっており傾向の検定(1次、2次など)が実行されます。ここでは、参照の水準に対して差があるかを調べる「単純」対比を選択します。参照カテゴリは、比較の基準となるカテゴリの指定ですので非常に重要ですが、ここではデフォルトのまま「最初」で進めます。これは、最初の水準(例えば「1回目」「治療前」など)に対して、他の水準との比較を行うことを意味します。

シンタックスの貼り付け

  1. 「続行」ボタンをクリックします
  2. 「貼り付け」ボタンをクリックします
シンタックスエディタに以下のようなコマンドが表示されます。「GLM」は一般線型のコマンドの名称で、対比の指定は「WSFACTOR」サブコマンド内に記述されます。「Simple」は単純対比を意味します。なお、シンタックスは大文字小文字を区別しません。

2シンタックスの編集

2回目の水準を参照カテゴリとする場合

「単純」の対比を使用すると、対比を指定する行のシンタックスに「Simple」が含まれます。この後ろに水準となるカテゴリの番号を指定することで、参照カテゴリをコントロール可能です。例えば、ダイアログボックスでは直接指定できない2番目の水準を指定することができます。具体的には「Simple」の後ろに括弧()で水準の番号を指定します。括弧()と値は必ず半角で指定しなければなりません。

シンタックスによる参照カテゴリの指定

  1. 「Simlple」の後ろに全て半角で「(2)」を追加入力します

例えば、1回目、2回目、3回目の3つの水準がある場合に、2回目の水準を参照カテゴリとして設定する場合は、上記のように「Simple(2)」のように追記します。このシンタックスを実行する場合は、ツールバーの実行ボタンか、実行メニューを使用します。

結果の例は上記の通りです。「水準1 対 水準2」や「水準3 対 水準2」のように、水準2が比較する基準となっていることが分かります。

3シンタックスの編集

1回目の水準を参照カテゴリとする場合

もし最初の水準(1回目)を参照カテゴリとしたい場合は、「Simple(1)」と指定します。

シンタックスによる参照カテゴリの指定

  1. 「Simlple」の後ろの括弧を「(1)」に修正します

結果の例は上記の通りです。「水準2 対 水準1」や「水準3 対 水準1」のように、水準1が比較する基準となっていることが分かります。

このように、シンタックスを活用することで対比の参照カテゴリを柔軟に指定することができるようになります。このような参照カテゴリの指定は、ロジスティック回帰分析Cox回帰分析(比例ハザードモデル)でのダミー変数の指定でも活用可能です。
シンタックスを使用する必要がありますが、貼り付けボタンで記録可能で編集はごく一部です。目的や使い方、用途に応じて、IBM SPSS製品を有効にご活用いただき、課題解決・価値創造にお役立てください。

参考文献

  1. IBM_SPSS_Statistics_Core_System_User_Guide.pdf
  2. IBM_SPSS_Advanced_Statistics.pdf
  3. IBM_SPSS_Statistics_Command_Syntax_Reference.pdf
  4. 小野寺 孝義,山本 嘉一郎 (2004) SPSS事典 BASE編、ナカニシヤ出版
  5. 対馬 栄輝 (2007) SPSSで学ぶ医療系データ解析,東京図書

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