SPSSによるコクランのQ検定の手順
1SPSSによるコクランのQ検定の手順
ノンパラメトリック検定 > 対応サンプル
下記の例は、ある薬剤の鎮痛効果を調べるために、10人の被験者に薬剤を投与して痛みが改善したかどうかを、投与前、投与3時間後、投与6時間後の3時点で調べた結果です(痛みを感じる:1、痛みを感じない:0)。この薬剤の鎮痛効果を調べるためにコクランのQ検定を用います。
コクランのQ検定の手順
- 「分析」メニュー >「ノンパラメトリック検定」>「対応サンプル」を選択します
- 「フィールド」タブを開きます
- 「検定フィールド」に「従属変数」を指定します
- 「設定」タブを開きます
SPSSのノンパラメトリック検定のメニューでは、検定手法を具体的に指定しない場合、測定の尺度と独立変数の水準の数によって検定手法が自動的に決定されます。
例えば、名義尺度(または順序尺度)で水準が2つの場合はマクネマー検定、水準数が3つ以上の場合はコクランのQ検定が実行されることになります。ただし、測定の尺度がスケールになっていると、水準が2つの場合はウィルコクソン符号付順位検定、水準が3つ以上の場合はフリードマン検定が適用されますので、検定手法を自動選択する場合は、事前に測定の尺度の設定を確認しておくことが重要です。
検定手法の指定
- 「検定のカスタマイズ」を選択します
- 「CochranのQ (kサンプル)」を選択します
コクランのQ検定に使用できるのはカテゴリ変数(名義尺度か順序尺度)です。指定した変数がスケール変数の場合は、とエラーとなり実行できません。複数の比較は「すべてのペアごと」が選択されており、多重比較の結果を確認することができます。
成功の定義
- 「成功の定義」ボタンをクリックします
- 「値を成功カテゴリと比較」を選択し、「値」に「1」と入力します
この例では、痛みを感じる場合に「1」が入力されていますので、この値を成功カテゴリとして指定します。この設定により、痛みを感じる割合の比較が行われます。
分析の実行
- 「OK」ボタンをクリックします
- 「実行」ボタンをクリックします
2結果の確認
コクランのQ検定
コクランのQ検定の結果は、以下のように出力されます。有意確率p=.018(P < .05)であり有意差が認められます。つまり、この薬剤について、投与前、投与3時間後、投与6時間後で痛みの感じ方に有意差が認められると解釈されます。
グラフからも、鎮痛剤の投与から時間の経過とともに、痛みを感じる割合が低くなっていることが分かります。なお、この例では検定結果とグラフのみに注目していますが、実際の比率や比率の差の具体的な値に注目することが重要です。
多重比較の結果は、ペアごとの比較テーブルを参照し、どの水準間に有意差が認められるかを調べます。この例では、調整済み有意確率から、投与前と投与6時間後の組合せが有意であることが分かります(P=.016)。この有意確率は、2つの水準間の検定結果の有意確率にボンフェローニ調整が加えられたものです。水準が3つの場合、検定の組合せは3通りありますので、調整済み有意確率は元の有意確率をそれぞれ3倍した値になっています。
3過去のダイアログメニューを使用した手順
K個の対応サンプルの検定
コクランのQ検定は「過去のダイアログ」メニューからも実行することができます。
過去のダイアログでの手順
- 「分析」メニュー >「ノンパラメトリック検定」>「過去のダイアログ」>「K個の対応サンプルの検定」を選択します
- 「検定変数」に「従属変数」を指定します
- 「検定の種類」の「CochranのQ」を選択します
- 「検定の種類」の「Friedman」の選択を解除します
以上の設定で、コクランのQ検定が実行されます。
コクランのQ検定の実行
- 「OK」ボタンを選択します
検定統計量テーブルにコクランのQ検定の結果が出力されています。有意確率p=.018(p < .05)であり有意差が認められます。つまり、この薬剤について、投与前、投与3時間後、投与6時間後で痛みの感じ方に有意差が認められると解釈されます。
参考文献
- IBM_SPSS_Statistics_Base.pdf