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IBM SPSSによるデータ分析、情報活用

SPSSによる生存曲線プロットの軸余白の編集方法

図表エディタとプロパティによる編集
SPSSのAdvanced Statisticsオプションでは、生存分析の手法に対応し、Kaplan-MeierCox回帰(比例ハザードモデル)などを使用できます。これらの手法では、生存関数のグラフを作成しますが、デフォルトでは軸の余白が5%とられているためラインと軸の線が離れてしまいます。その他、スケールの間隔や背景や枠線の設定などもデフォルトで決定されますので、必要に応じて編集を行う必要があります。
SPSSで作成されるグラフは、図表エディタを利用することで編集することができます。図表エディタは、対象のグラフをダブルクリックすることで起動されます。また、図表エディタの任意の場所をダブルクリックすると、プロパティが表示されます。これは、クリックした対象(例えば、軸や背景など)に関する編集機能を提供します。

1グラフ軸の余白を削除

図表エディタによる編集

図表エディタプロパティを起動して、スケール軸の余白を取り除く手順は以下の通りです。「スケール」タブで余白を0に設定することで、軸とプロットされるラインが重なるようになります。

図表エディタの起動と編集対象の選択

  1. 対象となるグラフをダブルクリックして、図表エディタを起動します
  2. 図表エディタの横軸の任意の数値をダブルクリックします

横軸の生存時間の0の箇所に注目するとデフォルトで余白が取られており、カプランマイヤー曲線の始点が縦軸の位置から離れてしまっていることが分かります。この余白の設定を変更することで、始点を縦軸に重ねます。グラフ内の項目の細かい設定はプロパティで行います。

スケール軸の余白を0に設定

  1. 表示されるプロパティの「スケール」タブを開きます
  2. 「下部の余白」と「上部の余白」の設定がデフォルトで「5」%になっていますので、それぞれを「0」に変更します

変更した内容の反映

  1. 「適用」ボタンをクリックして、図表エディタに反映させます
  2. 編集が完了したら図表エディタを閉じます

以上の設定で、縦軸の余白が取り除かれました。

縦軸にもデフォルトで5%の余白が取られていますが、同様の手順で余白を取り除くことができます。

2SPSSによるグラフのその他の編集設定

図表エディタとプロパティを組合せ

その他、同様の要領で図表エディタプロパティの機能を組合わせて編集し、スケールの表記方法や間隔の調整、フォントサイズフォントの種類の変更、背景色枠線の変更、テキストボックスの挿入などを行うことが可能です。プロパティは図表エディタで選択されている項目の編集内容に自動的に切り替わります。

上の図はSPSS Statisticsのみで編集したグラフです。使用バージョンは29.0.1です。軸の余白を削除しているほか、背景や軸の目盛り、グラフの線の種類の変更、テキストボックスの挿入などが行われています。

その他のグラフ編集を行うプロパティ

  • フォントの種類やサイズの変更 :「テキストのスタイル」タブ
  • 背景の色の変更 :「塗りつぶしと枠線」タブ
  • 数値の表示方法 :「数値書式」タブ
  • 間隔 :「ラベルと目盛り」タブ

例えば、縦軸の目盛りを0~100の%表記にするには以下のようにプロパティを設定します。目盛りの単位を「0.01」にして接尾文字に「%」を入力します。小数桁を「0」に設定することで、小数点以下を表示しないようにします。

また、2群の生存曲線を群ごとに編集する場合は、図表エディタ上で一度任意の曲線をクリックした後で、編集したい線をもう一度クリックします。最初のクリックで全体が選択され、2回目のクリックで個別選択が可能になります。この操作は生存曲線に限らず、棒グラフや箱ひげ図、散布図など、SPSSで作成されるグラフ全般に適用されます。

タイトルや軸ラベルのような文字の編集も同様で、一度クリックした後、もう一度クリックすることで内容の編集ができるようになります。また、ログランク検定などのp-valueや比例ハザードモデルで算出したハザード比を表示する場合は、図表エディタ上で「オプション」メニューから「テキストボックス」を選択して、値や文字列を入力します。

また、図表エディタ上で「オプション」メニューから「Y軸の参照線」を挿入し、位置に「0.5」と入力することで生存率が50%の位置に参照線を挿入することができ、個別にデザインを編集することが可能です。

このように、SPSSで作成したグラフは図表エディタプロパティを組み合わせることで細かい編集作業ができるようになっています。操作に少しコツがありますが、基本の要領を押さえておけば、グラフの編集は比較的容易に行うことができます。なお、残念ながらSPSSの現在の最新バージョンでも生存曲線のグラフの下部に各時点での生存数を示すNumber at riskの表を併記する機能はありません。
SPSSが別表(生存率表)に出力していますので、グラフ下部に併記したい場合は、WordやExcelなどで別途手動で挿入する必要があります。また、SPSSで生存曲線を作成するには、Advanced Statisticsオプションが必要です。目的や使い方、用途に応じて、IBM SPSS製品を有効にご活用いただき、課題解決・価値創造にお役立てください。

参考文献

  1. IBM_SPSS_Statistics_Base.pdf
  2. IBM_SPSS_Advanced_Statistics.pdf
  3. 対馬栄輝, SPSSで学ぶ医療系多変量データ解析, 東京図書, 2018

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