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Kaplan-Meier method

カプラン・マイヤー法
イベントが発生するまでの時間(生存時間)を分析する生存時間分析 Survival time analysis の手法です。例えば、異なる治療法や薬剤の違い、リンパ節転移の有無などによって、生存に差が認められるかを分析できます。医療分野において多用されていますが、さまざまな目的で利用することができ、ビジネスの領域では、解約や離職の分析などにも応用されています。
  • 分析手法の種類
  • 予測する
  • 要因を探る
  • 比較する
  • 分類する
  • 集計する
  • 可視化する
Application

生存時間の比較

カプラン・マイヤー法の特長として、期間内にイベントが起きなかった例を「打ち切り」として分析に含めることができる点が挙げられます。例えば、手術から再発までの時間を分析する際に、途中で転院したり、治療を中断したケースは、少なくとも再発していないためイベントに該当しませんが、欠損値として分析から除外してしまうとバイアスがかかります。打ち切り例は、イベントが起きるまで(打ち切りになるまで)は生存率の計算に寄与し、打ち切り後はケースから除外される形で扱われます。

生存曲線は、横軸に時間、縦軸に生存率を示したグラフで、ある時点における生存率を確認したり、グループによる差を比較できます。この例では、2つの治療法による生存率の違いを視覚化しており、治療法B の方が、生存率が高いことが読み取れます。また、打ち切り例には縦線などの記号がプロットされますが、生存率が更新されず、グラフが水平に推移していることが分かります。

significance test

有意差の検定

生存時間は、打ち切りも含まれるため、代表値は平均値ではなく、中央値がよく利用されます。中央値は、50%が死亡し残りの50%が生存するちょうど半分の時間です。以下の例では、治療法Aの中央値が40か月、治療法Bの中央値が146か月で、治療法Bの方が治療効果が高いことが読み取れます。

有意差が認められるかどうかを調べる場合、ログランク検定(Log Rank test)がよく用いられています。IBM SPSS Statisticsでは、そのほかに、一般化ウィルコクソン検定(Generalized Wilcoxon test)、タローン・ウェア検定(Tarone-Ware test)の実行が可能です。

カプラン・マイヤー法は、独立変数(要因)を1つしか使えませんので、患者の年齢・性別・体重などのその他の要因(交絡/共変量)の影響を考慮していません。つまり、単変量の解析に該当します。Cox回帰分析(比例ハザードモデル)を用いると、複数の共変量を用いた多変量解析に拡張することができ、患者の背景因子を制御した影響の大きさを調べることができます。

Software

ソフトウェア

SPSSでは、Advanced Statisticsオプションが生存時間分析に対応しています。分析メニュー内に「生存分析」が追加され、Kaplan-MeierやCox回帰分析を実行可能です。Rでは、survivalパッケージを使用してKaplan-Meier法を実行します。このパッケージは生存曲線の作成や生存時間の推定をサポートしており、詳細な解析も可能です。ggsurvplotを使えば、美しいグラフも作成できます。Pythonでは、lifelinesscikit-survivalなどのライブラリを使用してKaplan-Meier法を実行します。これらのライブラリは、生存分析に特化しており、Kaplan-Meier曲線の作成や統計的解析を効率的に行えます。

参考文献

  1. Kaplan, E. L., & Meier, P. (1958). “Nonparametric Estimation from Incomplete Observations”Journal of the American Statistical Association, 53(282), 457-481.
  2. Hosmer, D. W., Lemeshow, S., & May, S. (2008). “Applied Survival Analysis: Regression Modeling of Time-to-Event Data”Wiley-Interscience.
  3. 対馬 栄輝(2018),SPSSで学ぶ医療系多変量データ解析,東京図書
  4. 中村 剛(2018), 新版 Cox比例ハザードモデル (医学統計学シリーズ 3),朝倉書店
  5. 杉本 知之(2021),生存時間解析 (統計解析スタンダード) ,朝倉書店
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